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自動売買の重大な選択

よほど使い勝手がよくないと、その手数料は正当化されないと思うのですが、それなのに、使い勝手をかなり制限した外貨預金と投資信託を定価で(手数料の値引きなしに)売ろうというのですから、やはり「セットだから割高」になっていると評価してよいで)売》しょう。
類似のセット商品について、他の広告もみてみましょう。
各銀行がいろいろと工夫を凝らしている様子がわかります。 ずっと悪質な広告です。
「円定期預金十外貨定期預金」のセット商品であることの説明がとても小さく、わかりにくくなっています。 下側の細かな説明を読めば、円預金と外貨預金に同額ずつ預け、しかも、外貨預金の開始時には円から外貨への両替の手数料を支払うと、円定期預金に1ヵ月間だけ高めの金利がつくという仕組みがわかります。
しかし、他の広告にはセット商品であることを示す円グラフなどがついているのに、この広告にはありません。 現実にこのタイプの広告を出した銀行の店頭には、そそっかしい人が何人も、セット商品だと理解せずに押しかけたのではないかと予想されます。
もちろん、1ヵ月もの円定期預金を年率表示のトリックで有利なようにみせかけており、「1カ月もの」という文字も小さくしか書かれていません。 いつものように計算すれば、年2.5%の金利であっても、1ヵ月後の満期には元本に対して税引後で約0.17%(U2.5%小12×0.8)の利息がもらえるだけです。

じつは、日本のメガバンクのひとつがこのタイプの広告を出していました。 さらにそういった銀行は、通常タイプの外貨預金ではなく、銀行が手数料をたっぷり稼ぐために考案された、特殊なタイプの外貨預金を円定期預金とセットにした上で、「外貨運用の初心者向け」と説明しながら売っていたりします。
これもかなり悪質な売り方ですが、多くの銀行が少しずつちがうやり方でセット販売をおこなっていますので、興味のある読者は、いろいろな銀行の店頭にあるパンフレットやホームページを参考に、比較してみるといいでしょう。 円定期預金の金利については「倍率表示」、外貨定期預金の金利については「年率表示」と使い分けているところが、この広告のポイントと言えるでしょう。
もちろん、客にとって有利なセットではありませんが、銀行のセット商品の広告としてはよく工夫されていると感じました。 円定期預金(3ヵ月もの)と投資信託(広告の下の方には「株式投資信託」とあります)をセットで始めると、円定期預金の金利が高くなるのですが、資金をどの比率で両者に配分するかによって、円定期預金の金利が異なるのが特徴です。
広告の図は比較的わかりやすく書かれており、たとえば、30万円の資金を運用するとして、円定期預金に20万円、投資信託に10万円を振り分けると、円定期預金の金利は「年1%」になります。 もっと投資信託の比率を高くして、円定期預金に15万円、投資信託に15万円を振り分けると、円定期預金の金利は「年2%」に上がります。
もっともっと投資信託の比率を上げて、円定期預金に10万円、投資信託に20万円を振り分けると、円定期預金の金利は「年3%」まで上がります。 くどいようですが、ここでも年率表示のトリックは使われていますから、金利が年3%であっても、3ヵ月後に満期が来たときには、元本に対して税引後0.6%(U3%十4×0.8)の利息がもらえるだけです。
しかも、円定期預金で年3%の金利を得ようとすると、円定期預金に預けるおカネの2倍も株式投資信託を買う必要があり、そこでたくさんの手数料を取られますから、3つのプランの中でも一番割高なセットだと思われます。 ただしこの広告には「株式投資信託をたくさん買ってくれたら、その分だけ円定期預金の金利でオマケをつけます」という銀行の本音が堂と表に出ているように感じました。
この広告中のどのプランも決してお勧めできませんが、広告としてはそれなりに評価しています。 大学での講義やゼミなどで、みつけたばかりの金融商品広告を学生にみせ、クイズを出したりします。
ゼミでは各種の金融商品を研究テーマに選ぶ学生も多く、講義では金融商品選びの基本的な考え方を教えたあとでクイズを出すのですが、特にむずかしく、学生がなかなか正解できなかったクイズは、つぎの図旧に関するものでした。 別の銀行によるAとBの2つの広告があります。

学生に出したクイズは「このどちらかに預けようとしている友人に対して、どちらを選ぶべきか、一番大切なポイントをひとつ示しながら、適切なアドバイスをしなさい」といった内容のものでした。 では解説に入ります。
ここでは、ほとんどの円預金で金利がゼロに近い超低金利の状況を想定しています。 Aの広告の上から3行目に「2年もの円定期預金の金利」が0.02%と示されていますから、A・Bそれぞれの中央に大きな文字で書かれた「年1%」や「年0.四B80%」はかなりの高金利にみえます。
2つとも満期までの運用期間が長く、Aは「8年もの」、Bは「5年もの」ですから、1ヵ月もの定期預金で年率表示のトリックをもちいているケースとは異なり、1年ごとにきちんと元本に対して1%あるいは0.8%の金利がつきます。 もちろん、そこから2割の税金が差し引かれることを忘れてはいけません。
広告の中にも小さな文字で書かれていますが、税引後の金利はAで年0.8%、Bは年0.64%となります。 それでも、相対的にみればかなり高い金利です。
なお、両者は利息のつき方が少し異なりますが、この場合には大きな差を生じさせません。 Aの預金は1年ごとに利息が支払われる方式でこれを単利″と呼びます。
Bの預金は半年ごとに利息がつきますが、その都度、自動的に利息を元本に加えて満期まで運用を続ける仕組みになっており、これを複利″と呼びます。 この場合、計算が半年ごとですので、正確には半年複利″と呼びます。
単利と複利では性質が少し異なりますから、その点が異なる金利の数字だけを単純に比較するのは、じつは乱暴なやり方です。 しかし、今回は元の金利そのものが低いので、さほどの差が生じません。
だから、単利と複利の差を無視して話を進めています。 たいていの場合、満期までの運用期間が長いほど金利も高くなります(そうでない状況もありえます)。
ですから、Aの方がBより運用期間が3年長い分だけ、金利が年率で約0でBの預金が利用できない人もいるでしょう。 ただし、パソコンとインターネットは日本の家庭にかなり普及しており、Bの方が手続きが便利だと感じる人もいるでしょうから、このちがいは決定的な差とは言えません。
Bには、別の制約もあります。 どちらの広告の下側にも「預入金額」が書いてあり、Aは「50万円以上」となっているのに対して、Bは「50万円以上500万円以下」となっていますから、上限が決められている分だけ、Bの方がやや不便です。
ただし、もともと500万円以下の金額しか預けない人にとっては、関係ないことです。 また、Aの広告には「当行の財務格付けは最高位のAAAです」とあるのに対し、Bの広告には、対応する記述がありません。


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